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自己理解の促進からデータ活用まで~NMAT導入で見えたアセスメント活用の可能性と今後の展望とは~

2023年09月05日 NMATの活用 導入事例

本人の資質や適性に合わせた、より適材適所な人員配置を目指し、人事データ分析やタレントマネジメントの文脈で積極的に施策の検討・推進をされている株式会社マクニカ様。
実際にNMATを導入して見えた社内の変化やアセスメントの可能性、そして新しい施策を行ううえで人事として大切にしていることについて、人事本部 副本部長の伊藤 寿央様、人材開発課 課長の宇山 雄様にお話を伺いました。
(写真は左:宇山 雄様 右:伊藤 寿央様)

NMAT(エヌマット)2023年からご導入いただきましたが、
NMATを導入したきっかけや背景についてお聞かせください。

伊藤:当社は2030年までに目指していく企業像として、「Vision2030」を2022年に制定しました。これまで当社が強みとしてきた半導体商社ビジネスやネットワーク・セキュリティ分野を中心としたB to Bビジネスでの強みを生かしながら、新たなビジネスモデルである「サービス・ソリューションモデル」へと変革を進める内容です。

 このビジョンを実現するために、人事としては、社員一人ひとりの資質、適性や、保有している能力を可視化することで、人材をより適材適所に配置していけるのではと考えていました。そのために誰がどのような資質、適性を持っているか可視化し、社内における業務経験や上司の評価、目に見える資格のような情報だけではなく、外部の客観的な指標を取り入れられないかと思っていたのです。

 また、新規事業を行っている部門や経営戦略部門の責任者から出た、「新規事業では、既存事業とは違うタイプの人材が必要になるのでは」や「今見えているもの以外でも何か基準を設けた方がいいのでは」という投げかけも後押しとなりツールを検討することになりました。

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 他のサービスも比較検討されたということでしたが
そのなかでNMATを選ばれた決め手は何でしょうか。

 伊藤:決め手はいくつかあったのですが、まずは「結果の確からしさ」です。リクルート系のテストということでデータの母数も多いですし、漠然と確からしさは十分あるだろうと思っていました。実際に人事と新規事業、経営戦略のメンバー4名で試しに受検し、結果をお互い見合ったうえで「良さそうだ」ということをあらためて実感しました。

 次に、「本人に結果がフィードバックできるか」です。csvファイルだけや人事用のレポートだけのテストもあるなか、NMATには人事用の報告書に加え本人へのフィードバック用の報告書が付いていることが、受検者自身に価値を返せることを大切にする当社にとっては魅力的なポイントでした。また、本人用報告書のレイアウトがシンプルで非常に見やすいと思いました。内容は充実していながら難しく感じさせない様工夫されているので、実際に受検した社員からも好評でした。

 宇山:最後に「管理画面の操作性の高さ」です。NMATの管理画面はマニュアルを読み込まなくても直感的に操作ができ、シンプルかつ分かりやすい点が優れていると感じています。受検依頼から結果の取得まですべてをシステム内で完結でき、たとえ数千名規模でも事務局の工数はさほど変わらず規模を拡張して受検管理が可能そうであるという点で、将来的に全社員に受検してもらうことを想定しても、NMATは非常に使いやすいと感じています。

<NMATの管理画面イメージ>
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検討のきっかけとしては「可視化」や「客観的な指標」という言葉がでていましたが、
受検者へのフィードバックについても決めるうえでは同じくらい重要視されたのでしょうか。

 宇山:そうですね。「結果の確からしさ」はもちろん重要ですが、前提として受検者へのフィードバックは、受けてもらう以上は欠かせない観点だと思っています。特にこういった新しい取り組みをやるうえでは、いかに受検者本人にも価値を返せるかは重要視しています。

NMATは今現在御社でどのような場面で活用いただいていますか。

宇山:管理職手前のグレードに昇格した社員向けの研修を行っていますが、今回からプログラムの1つとしてNMATを組み込みました。事前に受検してもらい、研修内でレポートの返却。それをもとに自己理解を促進するコンテンツを用意しました。

私がNMATの読み解きの解説をした後、自身の現状を捉えつつ、今後管理職への昇格を目指すうえで課題になりそうなこと、周囲にサポートしてもらうべきことなどを受講者同士で話し合ってもらいました。最後にはキャリア開発シートを作成してもらい、もう一段自己理解を深めてもらう時間をつくりました。キャリア開発シートはNMATで提供されているキャリア開発シートを当社用にアレンジしています。

 NMATを返す瞬間は反応が気になって仕方がありませんでしたが、研修受講者が楽しく前向きに研修に取り組んでいる姿を見て安心しました。研修後に行った懇親会ではリーダーシップスタイル報告書の「リーダーシップスタイルタイプ」が話題に上がり盛りあがるような場面もありました。

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伊藤:フィードバック(結果)を前向きに捉えてもらうための工夫も同時に行いました。事前に人事にはどんな情報が見えるのかを具体的に説明・理解してもらったうえで、安心して受検や研修の受講ができるように心がけました。

実際に受検をされた方の反応はいかがでしたか?

宇山:4つの役職タイプ別の適性については、意外な結果だったと言う人、妥当だと感じた人、反応はバラバラでした。どちらにしても自己理解を深める機会になったと思います。基礎能力については、テストの結果が低い社員はがっかりしたとは思いますが、それも含めて自己理解になったということで良いかと思います。

 当社は一部の研修で実施している内容を除けば、大部分の社員が自己理解のためにアセスメントを使う機会がありませんでした。評価を受ける機会といえば、上司評価のような社内の評価が中心になっているなかで、NMATのような外部のアセスメントを受検すること自体が新鮮に映ったようです。終わった後のアンケートでも客観的な指標を用いて自己理解ができて良かったというコメントが多く見られました。

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人事の方から見てNMATを実際に活用されていかがですか。

 宇山:NMATの報告書を見ながら上司・部下で会話が発生している姿を社内で見かけましたが、上司が気づけない部分を補助するツールとしても活用できるイメージを持てました。また、ジョブローテーションの際に、NMATレポートも引き継ぐことができれば、次の部署でスムーズなオンボーディングができる期待も持てますので、いろいろな活用方法を考えていきたいと思います。

 冒頭にお話ししたとおり当初のきっかけとしては「資質や適性の可視化」を主眼として置いていましたが、それを抜きにしても受検者の自己理解の促進や結果をもとにした社内のコミュニケーションにつながったり、上司・部下の振り返りにつながったりするなど、十分に価値があるものなのだなと感じました。

 伊藤:一方で、ここまで価値を感じられたのは、きちんと場を設け、読み解きも含めて各個人にフィードバックをしたからだと思っています。受検し、ただ結果が返ってくるだけの流れであれば、もしかするとうまくいかなかったかもしれません。研修で説明をするなかで受講者からはたくさんの質問が出ましたし、特にNMATは人間の見えない資質の部分を測定しているものになりますので、逆に言えば、人によってはきちんと説明をしないと理解がしづらいものだなとも感じました。

 宇山:場を準備し言葉を尽くして説明をするという一連の流れが大切だったのかなと思います。また、読み解き方についてアセスメントを理解している人がきちんと伝えるということはとても重要だと思います。今回は私が行いましたが、今後はこの分野の専門家を養成して社内に置く必要性も強く感じています。

 NMATを使って今後活用を検討されていることがあれば教えてください。

 伊藤:自己理解を促すツールとして、引き続き管理職に近いグレードに昇格した社員に受検してもらおうと考えています。当社では管理職昇格の要件としてNMATを利用する予定はありませんが、管理職を目指す際や管理職になった際に、自分の強みや逆に足りないものは何なのかを自分自身で把握することは重要と捉えているからです。

また、当初の目的として置いていた個人の資質や適性の可視化という観点では、このNMATデータや入社時のSPI3データ、他のアセスメントデータ等を組み合わせて、例えば弊社のAIエンジニアと一緒にAIを活用した分析をし、将来的には、適材適所の人員配置や成長のためのローテーションの材料の1つとして活用することだけでなく、AIによる経営人材の育成計画の提案など、活用の幅はさまざまなものがありそうだと考えていますので、今後挑戦していきたいと思っています。

本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。


株式会社マクニカ

https://www.macnica.co.jp/

設立
1972年10月30日
事業内容
最先端の半導体、電子デバイス、ネットワーク、サイバーセキュリティ商品に技術的付加価値を加えて提供。グローバルにおける最先端テクノロジーのソーシング力と技術企画力をベースに、AI/IoT、自動運転、ロボットなどの分野で新たなビジネスを展開。
社員数
4187名(2023年3月31日現在)