導入事例・コラムCOLUMN
生成AIによるマネジャーの役割変化とは~今の時代に問い直したい、マネジャーならではの価値発揮~
昨今「管理職になりたくない」と思う社員が増えているとのニュースが増えています。
背景には、働き方の多様化やマネジメントの責任の重さが敬遠される現状があります。
さらに、生成AIの普及によって「管理職の仕事はAIに奪われるのではないか」という懸念も広がっています。
しかし実際には、生成AIは管理職を不要にするのではなく、その役割を再定義しているとの見方もできます。
情報整理や資料作成といった業務はAIが担えるようになりましたが、チームを導き、人を動かすための共感や意思決定は、人間にしか果たせない役割として残ります。
ピーター・F・ドラッカーが従来より語っている「知識社会において組織の最大の資産は人」という示唆は、現代社会においては「人間だけが持つ価値を見失うな」と置き換えられるのではないでしょうか。
生成AI時代こそ、人間が人間らしく果たすべきリーダーシップの価値が問われているのです。
本稿では、生成AIが変えるマネジメントの姿を整理し、新しい管理職選びの基準を考察します。
生成AIはマネジメントをどう変えるのか?
生成AIの力は、マネジャーの"あり方"そのものを問い直しています。ビジネスパーソンの多くは、AIを活用しながら、定型作業の自動化を進め、情報整理やレポート作成などに割く時間が削減できる実感を持っているかと思います。
一方で、人間の集合組織である企業においては、人を導き、共感し、意思を決めるマネジャーの役割の重要性がむしろ増しています。リクルートワークス研究所のレポート「生成AIが変えるマネジャーの役割と業務」では、マネジャーの業務を11項目に分類し、AIによる代替可能性を分析しています。その結果、定型的な進捗報告、スケジュール調整、データまとめなどの業務はAIが大幅に肩代わりできるとされます。
一方で、メンバーのケア、モチベーション維持、対話を通じた信頼関係構築、複雑な判断などは、人間が担うべき領域として残るとされています。
本調査の全文をお読みになりたい方はこちらをご参照ください
➤➤生成AIが変えるマネジャーの役割と業務
また、生成AIを導入した企業のうち、資料作成・翻訳・要約・会議効率化など「業務効果」を実感している割合が高いという調査もあります。例えばITmediaが実施した役職者への共同調査「企業IT利活用動向調査2025」では、資料作成やデータ入力といった日常業務で45%以上の企業が「非常に効果が出ている」、さらに80%以上が何らかの効果を実感しているという結果が出ています
参考:役職者1110人に聞いた「生成AI活用の実態」 効果が出た業務は?
これは、マネジャーの業務負荷の軽減につながる可能性を示す確かなサインです。昨今では、中間管理職として経営と現場の橋渡しをするマネジャーの心身面での業務負荷が話題になっています。つまり、生成AIは多忙なマネジャーの救世主でもある一方で、それならば何で価値発揮をする存在なのかという再定義を余儀なくされているといえるでしょう。
時代に適応する管理職の"選び方"の新基準とは?
AIの影響で変わりゆくビジネス環境のなかで、今後の時代に価値を発揮する管理職はどう選べば良いのでしょうか。本章では、この変化の中で管理職を選ぶ際に、何を基準にするべきかを考えていきます。
納得感と公平性を高める昇進・昇格プロセス
AIの環境変化はあれども、管理職選びで最も重要なのは、社員が納得できる公平性のある昇進・昇格プロセスであることは今も昔も変わらない前提かと思います。公平性理論(Adams, 1965)によれば、人は自らの努力と報酬の比率を他者と比較し、不公平を感じればモチベーションを下げるとされています。属人的な判断や曖昧な基準による昇格は、組織全体の信頼を損ないます。
弊社調査「昇進・昇格および異動・配置に関する実態調査2024」では、部長職・課長職への昇進・昇格にあたっては、「人事考課(業績評価)」「人事考課(コンピテンシー評価・行動評価)」「直属上司の推薦」が依然として重要視されているものの、2016年に比べてその実施率は下がり、客観的なツール(360度評価・適性検査など)と自己評価・自己申告による情報を組み合わせる形で、より多角的に人材の能力や適性を見極めようとしていることをうかがわせます。
これは、従来の主観的な評価に偏りがちだった制度に対する、企業側の問題意識が顕在化していることを示しています。生成AIの環境下では、昇進・昇格のみならず、人材採用も急速にデジタル化が進んでいます。より昇進・昇格の透明性が増し、評価制度に対する社員の納得感が高めることに関心が集まっているといえることが見えてきます。
役割変化に柔軟に対応できる管理職の存在
生成AI時代の管理職には、変化する役割に柔軟に適応できる能力が不可欠です。Learning Agility(学習機敏性)は「新しい経験から素早く学び、それを次の場面で活かす力」を意味します。また、カッツモデルによれば、管理職に求められるのは役割が上がるほど「ヒューマンスキル」と「コンセプチュアルスキル(概念的思考力)」が重要です。一方で「テクニカルスキル(業務遂行力)」は上位役職者であれば、相対的に重要性が低下しています。

https://www.recruit-ms.co.jp/issue/feature/0000000468/
学術的なモデルでも証明されていることに加え、このテクニカルスキルはいわば「AIによる置き換えができる定型業務」です。実際に生成AIを導入した企業では、単なる管理業務にとどまらず、新規事業開発やチーム文化の醸成といった「人間ならではの領域」で成果を上げる管理職が評価される傾向が強まっています。このような変化に適応し学び続ける姿勢を持つ人材こそ、AI時代の管理職として組織を引っ張っていく存在となります。
データドリブンな意思決定
管理職選びの新基準の三つ目は、データに基づく客観的な意思決定です。人事評価を主観だけに頼ると、少なからず人間の判断によるバイアスが入り込みます。それ自体は自然なことではあるものの、管理職としては常に自分の判断の根拠を、客観的に周囲に示す必要があります。
一方で、AIがはじき出したデータや結論だけに頼ってしまっていては、管理職が介在する意味がなくなってしまいます。つまり今後の管理職は、これまでの経験則だけに頼らずに、AIを活用したデータマネジメントのベースを作る必要があるのです。そのうえで、そのデータが意味するところを、現場マネジメントをしている立場の嗅覚や勘所で解釈する--、このようなAIとの協働が求められます。
このようなバランス感覚は、多くの企業でまだまだ手探りな状況かと思います。だからこそ、いち早く「データ分析はAIに委ねる」「その分の空いた時間で、そのデータで組織をどう導くかを考える」というマネジメント自身の切り分けが重要です。
管理職が変化しないとAIの影響は会社をも危うくする
これまでの章で「AI×管理職」に焦点を当てて考察を続けてきました。その理由は、管理職自身の変化がないと、ゆくゆくは会社の存続までも危ぶまれるリスクがあるからです。経営レベルでも現場レベルでもデータを使って人を育て、組織を強くする―これはもはや未来の話ではなく、現在進行形の潮流です。
経済産業省が取りまとめた「人材版伊藤レポート2.0」及びその実践事例集では、人的資本経営を推進する企業の取組として、エンゲージメント調査の定期実施、キャリアパス管理制度の整備、スキルデータの可視化とその活用などが事例として紹介されています。
参考:人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書 ~ 人材版伊藤レポート2.0
例えば、ある企業では社員の「学習履歴」「成果・スキルマッピング」をタレントマネジメントの基盤として活用しています。このことで、育成課題を早期に発見・対応できるようになったという事例が挙げられています。
つまりAIの影響は、単なる管理職業務の集中領域の話に留まらないのです。人的資本経営などの大きなHRの潮流を考慮すると、企業の生き残り戦略にも直結していきます。そのような観点で考えても、企業の成長戦略に大きく影響を与える「管理職」の存在は、AI時代における、対策の優先順位が高いことに変わりはありません。だからこそ、「誰を管理職にするのか」という昇進・昇格基準が今後より一層重要になるのはご理解いただけるでしょう。
AI時代にキーとなるマネジャーの昇進昇格を左右する「客観的な適性検査」とは?
ここまで紹介したように、AI時代に求められる管理職像は大きな変化が求められています。ただし、従来型の「プレイヤー時代の人事評価」などをもとに昇進昇格を決めているだけでは、時代に適応する管理職の"選び方"の新基準とは?の基準を満たせません。
本章では、AI時代の昇進昇格に効果を発揮する、客観的な適性検査に着目しました。そのうえで、年間40,000人が受検する管理職に特化した適性検査のパイオニア「NMAT」の効力について紹介します。
昇進・昇格プロセスの客観性を保つことができる
NMATの第一の価値は、昇進・昇格プロセスに客観性を持ち込めることです。心理測定技術の三原則(信頼性・妥当性・標準性)を満たしたテストは、主観的判断の偏りを補正し、透明性のある昇格基準を提供します。
NMATは長年の研究データに基づく標準化を行っており、候補者の適性を同一基準で比較することが可能です。長年日本企業での管理職登用では、過去の人事評価や「上司の一声」的な不透明さが指摘されていました。
そこにデータで管理職登用の基準を示すNMATがあることで、社内からの不平・不満が解消される可能性もあります。
昨今「若手が管理職を目指さない」と声高に叫ばれていますが、少なくとも管理職になりたいと思っている若手社員はゼロではないでしょう。管理職の登用基準を示すことができれば、若手社員にとっても「自分は何を鍛えればいいのか」と、前向きな努力につながる可能性もあります。客観性の導入は、組織に公平性と納得感を根付かせ、昇進・昇格の信頼性を大きく高めるのです。
変化に対応できる準備を可能にする
NMATの第二の価値は、管理職候補者が自己理解を深め、変化のきっかけ作りを支援できる点です。
生成AI時代には、管理職自身も変化に適応し続ける必要があります。ただし、自分の持ち味や強み・弱みのような「現在地点」が不明であれば、何をどのように努力すればいいかも分からないでしょう。NMATは昇進・昇格の基準だけではなく、管理職になった後にも持てる力を開花させる情報提供が可能です。
具体的には、NMATには対象者の能力開発に主眼を置いたフィードバック専用の報告書があります。ィードバックをされた対象者は「自分の強みを勘違いしていた」や「弱みを使ったマネジメントを強いていた」など、新鮮な驚きの声が聞かれることが多いのです。AIの台頭のように急激な環境変化に対応するには、まずはご自身が元々持っている資質を知ることがスタート地点です。フィードバック報告書を見ることで、この先に予想される世界で自分の持つ強み・弱みをどう変化させていけば良いかをリアルに想像することができ、資質を自覚する第一歩となります。
組織のマネジメントデータを可視化する
NMATの第三の価値は、現管理職または管理職候補者のデータを組織的に蓄積・分析できることです。現場の昇進昇格活用だけでなく、中長期の組織のタレントマネジメント観点で適性検査のようなデータは非常に価値を発揮します。
個人の適性データを集積することで、組織全体のマネジメントの特性や水準を把握できます。これは前述した、人的資本経営における「人材の見える化」に直結します。ある企業ではNMATの受検結果を集計し、組織全体で「意思決定に強いタイプ」と「人間関係に配慮できるタイプ」の比率を把握することで、部署ごとのマネジメント課題を明確にしました。
また、NMATは標準集計で「組織管理」「企画開発」「実務推進」「創造革新」という4つの役職タイプの適性・指向を測定しています。「全体傾向報告書」では4つのタイプの比率マトリクスが集計されるので、そこをチェックするだけで、自社管理職の傾向が可視化できるのです。組織レベルでのデータ蓄積は、単なる人材評価にとどまらず、戦略的人材配置と次世代育成の基盤を築くことにつながります。
まとめ:時代の変化をいかに‟武器"に昇華させられるか
「生成AIの時代は、管理職の業務を奪うものではなく、その役割を解放するもの」です。多くの定型業務がAIに任せられるようになることで、管理職は本来の使命、すなわち人を導き、組織を育て、未来を創ることに集中できるようになります。
「人間だけが持つ価値を見失うな」──冒頭で紹介したピーター・F・ドラッカーの示唆が示す通り、人間らしさへの問いは、生成AI時代における管理職像を考える上での羅針盤です。公平性・適応力・データドリブン性という新しい基準のもとで管理職を選び、それを支える信頼性の高い手法としてNMATを導入することは、組織の未来に投資することにほかなりません。
古くから企業で使われている適性検査が、生成AI時代と共存するパワフルなツールとなるのは、新しい活用方法かもしれません。ぜひ新時代のあるべき管理職像や本来的な昇進・昇格を考え直す際の第一歩として、NMATを活用してみてはいかがでしょうか。